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桃色画集
多くの国民に貧困生活をもたらした第二次世界大戦。
戦争は、国民生活を圧迫しただけでなく、文化的にも強い抑圧を生み出す結果となりました。
大きな犠牲と悲しみを招いた戦争とその敗戦でしたが、しかし、敗戦は新しい時代の夜明けでもあったのです。

戦後、「カストリ雑誌」と呼ばれた多くの雑誌が世に出ました。
国民の活字に対する「飢え」を満たすように、続々と生まれてはまた、消えていったわけですが、この事象は日本のサブカルチャー史上、見逃せないものといえるでしょう。
これらの雑誌群のなかには、SMなどの性風俗を中心に取り扱ったものがあり(むしろそうしたもののほうが多かった)、独特の文化を形成したのです。

こうした雑誌の代表格として、「奇譚クラブ」があります。
奇譚クラブの創刊は、戦後間もない昭和21(1946)年。版元の出版社を変えながら1975年まで刊行されました(長く続いたという意味では奇譚クラブはカストリ雑誌とは呼べない)。
近年、杉本彩主演映画で話題になった「花と蛇」(原作・団鬼六)が連載された雑誌としてもよく知られています。
また、幻想未来マゾ小説と銘打った奇作「家畜人ヤプー」(作・沼正三)も注目すべき作品。こちらも近年、マンガ家の江川達也氏がマンガ化を試みています。
これらの作品は現在でも文庫本などで読むことができますが、誌面の大半を占めたのは無名作家による短編小説や、読者からの投稿作品でした。

奇譚クラブで中心的な役割を担った編集者に、須磨利之氏がいます。須磨氏は、挿し絵画家・喜多玲子の別名でも活躍し、多くのファンを獲得しました。
その須磨氏が立ち上げた雑誌に、「裏窓」があります。
この裏窓も、多くの無名作家に執筆の場を与えました。

これら無名作家等による作品には、佳作と呼ぶべきものも少なくありません。
ひょっとすると、後に有名になった作家が無名時代に、こうした雑誌に執筆していたかもしれない、などということも想像させられます。
当サイトは、これらの放っておくと埋没し消え去ってしまうであろう文学作品を復刻保存し、世に提供することを目指しています。

「カストリ雑誌」とは
第2次世界大戦終戦からの数年間、数多く出版された大衆雑誌の総称で、主として性のテーマが扱われた。「カストリ」の名は、粗悪な密造酒「カストリ焼酎」から来ていて、「3合(号)で潰れる」という意味。